-- ミニアルバム『LET IT ROCK』から1年7ヶ月。NAMBA69が新メンバーのko-hey(ギター、コーラス)加入後初となる音源をリリースする。JMSと共同で新たにレーベル「POP SPEED RECORDS」を設立してリリースするミニアルバム『HEROES』は、全曲キラーチューンとなる6曲を収録した、新生NAMBA69と呼ぶにふさわしい出来となっている。全曲6曲、メロディック・パンクを基調にしつつも、これまでにバンドが持っていたポテンシャルを大きく超える、新しい次元のサウンドに仕上がっている。曲作りに加わったko-heyを迎え入れてのモダンな世界標準のサウンド・アプローチもあって、新曲は今まで以上に難波章浩ならではのメロディを生き生きとしたものにしており、新たなストーリー性を持った楽曲がより大きなスケールとなって聴き手に迫ってくる。NAMBA (Vo/Bass)、K5 (Gt/Chorus)、ko-hey (Gt/Chorus)、SAMBU (Dr/Chorus)に、ko-heyの加入から、新生NAMBA69のアプローチ、『HEROES』の制作、今後の活動について話を聞いた。
[インタビュアー:Toshiya Ohono(FLJ)]
新メンバー、ko-heyの加入
- FLJ
- 今回、ko-hey加入後初の音源なので、ko-heyがどういうメンバーなのか紹介していきたいと思います。そもそもうるさい音楽を好きになったきっかけは?
- ko-hey
- 小学校後半から、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITYのようなロックと、L'Arc-en-Ciel、GLAY、LUNA SEA系の音楽の両方が好きだったんですよ。その中でもX JAPANのようにメタルの要素が入ってるバンドが好きで。高校時代にメタルにハマるんですけど、高校1年の時に同じクラスになった、ベースがめちゃくちゃ上手いヤツがいて。そいつの影響でジャパニーズ・ハードコアと言われるようなシーンにハマり。ライヴハウス・デビューがガーゼ先輩の消毒GIGだったんです。
- FLJ
- マジで?!
- ko-hey
- いきなり鋲ジャンの人に殴られましたから。それで、知らないまま連れていかれたのがAIR JAM 2000なんですよ。で、高校卒業するぐらいのタイミングでバンドを始めて。その時はスクリーモ・バンドでヴォーカルだったんです。でもずっと趣味でやってたギターの方が評価されるようになり、ギタリストになって。ギター・ロックとかもハマり、メタルコア+ピコリーモみたいなバンドもやりつつ、最終的には、大きな括りで言えばメロコア・バンドにたどり着いた感じですね。
- FLJ
- いろいろ音楽が好きなんだね。
- ko-hey
- 良い音楽はジャンルを問わず良いし。クラブに遊びに行ってる時代もあったんです。でも同時に’90年代J-POPで育ってるんですよ。いわゆるサビは誰もが一回で歌えるようなヒット・チャートの曲。そのメロディに対するキャッチーさっていうセンサーが敏感なんだと思います。だから難波さんの作ってくるメロディをスゴいと思うのは、そこのセンサーにも反応しつつ、やっぱりどこか日本人特有のヒットする切なさだったりがあるからなんですよ。
- FLJ
- NAMBA69に入ったいきさつは?
- ko-hey
- 当時ARTEMAっていうバンドをやってて。一昨年の10月ぐらいに解散が内々で決まって。僕からしたら突然なんですけど、2月の中旬に解散のアナウンスをしたら、3~4日後に難波さんから直接電話がかかってきて。「今ちょうどギターを探してるんだけど。ARTEMAが解散した後、決まってるの?」ってお声がけいただいたのが初めてです。ちょうどNAMBA69も3ピースでやってたけど、元々4ピースだったし、年末ぐらいからもう一本ギターを入れようって話があったっていう話を聞いて。タイミングが合致したんだなと思って。
- FLJ
- ko-heyがどういう男なのかっていうのを知りたいので、他のメンバー3人にも語ってもらいたいんだけど。
- K5
- 完全に元気キャラですよね。俺とはタイプが反対の秀才なの。着地までスゴく見えて組み立てて。俺はギター一人でバッキングとかソロとかやってたんだけど、そこにko-heyが入ってきて。「こうやってやろうぜ」って口で言わなくても「イエイ!」ってハマれるところがある。ギター同士で絡めるから、それが俺はスゴく楽しくて。気持ちも楽になったし、よりフリーになれると思いましたね。
- SAMBU
- ただただ負けず嫌いですね。ライヴに対しても、曲を作るにしても、すべてがそこから来ている気がします。曲作りも頑張って好きやからどんどんやるんですけど、ライヴの時がスゴく光ってると思うんですよ。あとは乳首っすね(笑)。
- NAMBA
- 乳首はきれいですね。
- 一同
- 爆笑
- NAMBA
- 前のバンドでスゴいバンドを引っ張ってただけあって、バンドに対する意識とか、方法論とか、音楽とかに対して持ってるものが、はなっからしっかりしてて。それがまずいきなりスゴいなと思いましたね。後から入ってるんだけど、いきなりリーダーシップを取ってるし。曲もグイグイ作ってくるし。「こういうバンドにしたいんだ」っていう意識もハッキリしてる。それがやっぱりNAMBA69に足りなかったものだっただろうし、そこを補ってくれたっていう意味では、本当にものスゴい出会いだったなと思います。完全にライヴから制作まで革命が起きましたもんね。全くもって新しいバンドになったと思いますね。
- SAMBU
- 足りないところに全部上手くハマった感じですね。
- NAMBA
- 彼がよく言ってるのは、「NAMBA69には難波っていう名前がついてるけど、難波さんのバックになるつもりは全くない」と。「もう4人で塊りのバンドになりたいんだ」っていうのはスゴく強く思ってるんdすよ。
- FLJ
- ko-heyは一回音楽を諦めるところまでいったわけでしょ。だからこのバンドに賭ける気持ちっていうのは相当なものだよね。
- ko-hey
- まさにその通りで。ARTEMAの解散が内々で決まった時、悶々とした生活の中で、音楽はやめないけど趣味にしよう、別に俺はサラリーマンになっても成功する自信があるし、そっちで行こうと思ってて。「こういうステージやれたら超楽しいな」っていう夢は諦めたんですよ。でもそこで引っ張ってくれて。で、3月のNAMBA69を観に行った時に、バンドの振り幅とライヴの熱量を久々に見れたんですよ。「これは俺が入ったら絶対もっと売れるよ」って何故か思っちゃって。そこで俺もめちゃくちゃスイッチが入って。変な話、「俺がもう一回バンドやるんだったら絶対に売れる」と思って。そこで改めて芽生えたというか。一回骨折すると骨が強くなってくっつくって言うじゃないですか。そんな感じで今やってますね。
- NAMBA
- ぶっちゃけると、俺たち3人だった時、このままNAMBA69を続けていくのかいかないのかっていうところまで話は行ったんですよ。K5も一人でギター頑張ってたんだけど、けっこう限界に来てたんですよ。そこで、「でもまだ何かあるんじゃないの?」ってなった時に、「じゃ、ギターもう一人増やしてみようか」ってところに3人で行ったんですよ。そこでARTEMAが解散するってアナウンスを聞いて。本当そのタイミングがバッチリ合ったんです。来てくれてありがとうって感じですよ。
新生NAMBA69の新たなアプローチ
- FLJ
- こんなことを言うと何なんだけど、難ちゃんが歌ってる限り、やっぱりどうしてもHi-STANDARDの影がちらつくのね。だけど今回、やっとNAMBA69が完全に別モノのバンドになったって感じがするのね。
- NAMBA
- 前は3ピースだったし、ハイスタも3ピースじゃないですか。やっぱりそこと比べられちゃうわけですよ。申し訳ないなと思いながらも、宿命じゃないですか。そこからは逃れられない。K5も無理している時期があったから。自分はそういうキャラクターじゃないのに、わけわかんなくなってアフロにしちゃったりとか。
- FLJ
- あれはわけわかんなかったの?(笑)
- K5
- わけわかんなくないすよ(笑)。
- FLJ
- 随分長い間迷ってたんだね(笑)。
- NAMBA
- そこは冗談かもしれないですけど、このバンドはHi-STANDARDとは全然違うバンドなんですよ。そう見られるのもわかるけど、俺からすると突破したい部分なんですよ。ハイスタよりも全然新しいことをしたいし、ハイスタよりもスゴい部分だっていっぱいあると思ってるんですよね。そこのモチベーションはあったんだけど、3人ではやっぱり表現しきれなかったというか。ジレンマはあったんですね。
- FLJ
- でもその行けそうだったところを思いっきり引き出してもらった感じはあるんじゃないの?
- ko-hey
- 今回、俺は求められていない時から新曲をどんどん持っていったんですよ。「こんなの出来ました」って、スタジオのスピーカーから聴かせて。「こういうのをこのバンドでやったら面白いと思いますよ」って感じの、ある種NG前提みたいな感じの音なんですけど。それを3人は「いいじゃん、いいじゃん」って言ってくれて。たぶん難波さんはその後メロディをつける上で、難波さんの中での最終形が何となく見えててたんじゃないかな。
- NAMBA
- ko-heyが持ってくるものがいきなり良かったんだよね。
- FLJ
- でもそれはko-heyが、NAMBA69はこうやったら面白いんじゃないかっていうのをちゃんとイメージして作ったからでしょ?
- ko-hey
- そうですね。音楽って、何やっても二番煎じってあまり重要だとは思えなくて。日本で誰もやってないようなところを突っ込んでいかなくてはいけない。で、変な言い方をしちゃうと、メロコアの始祖がここにいるわけじゃないですか。本流がある種、今のシーンにおける本流をまたやろうというわけじゃないですか。俺からしたら。そうなった時に、俺が好きなハードコア、メタルコア、最近のアプローチをしてくるバンドを意識するわけですよ。で、これはさんちゃん(SAMBU)からもK5くんからも言われたんですけど、「どんな曲を持ってきても難波さんがメロディをつけたら難ちゃん節になるから大丈夫だよ。思いついたら持ってこい」って言われて。それで持っていったものがスゴくいいケミストリーになったんだと思うんですね。
- NAMBA
- NAMBA69は前からハードコアの要素を取り入れたり、チャレンジはしてたんですよね。で、そこがやっと完成形が出たというか、今回そんな感じなんですよね。
- ko-hey
- これは全くディスじゃないんですけど、いつからか、メロコアと呼ばれてたものがメロディックて呼ばれてるじゃないですか。良いメロを速いビートでやることがメロコアみたいになってるんですけど、俺の育ったメロコアって地盤がハードコアだったんですね。それをもう一回取り戻すようなことをこのバンドでできたらいいなと思って。
- FLJ
- リアル・メロディック・ハードコアだね。
- ko-hey
- そうですね。ギターのリード・フレーズだったり、曲の展開でも、ハードコアのようなアプローチを持っていきつつ、でもどこかエモいような、耳に残るものを意識して作った部分はありますね。
- FLJ
- 今回制作を側で見ていて面白かったのが、まずデモがあって、そこにみんなのアレンジが入って、歌詞を乗せて、最後にジャケットのアートワークが出来た時に、どんどん広がっていったのがヤバくて。最終形を見ると、最初からここまで考えてたんじゃないかと思うほど、完璧に仕上がったよね。
- NAMBA
- そうですね。
- ko-hey
- 俺はレコーディングでこんなに感動したの初じゃないのかなっていうぐらいだったので。全部想像を超えてましたから。いちいち感動してましたよ。ドラムを録りおわしました。ヤベエ!って。ベースを録りおわしました。ヤベエ!って。
- FLJ
- みんな一人ひとりが一番得意なことをやってるなって感じがしたし。
- SAMBU
- そうすね。今回が一番チャレンジもしつつ、今までの中で一番自分がドラムに向き合いながらやれたなって。それが一番今回感じますね。アレンジはko-heyのデモを聴いて参考にした部分もいっぱいあって。それを自分でもチャレンジしつつ、自分で取り込んでいくことがレコーディングまでの間にできて。レコーディングで自分の音を作りつつ、プレイもできたっていう、今までの中で一番達成感があるレコーディングになりましたね。
- NAMBA
- 今回のさんちゃん、一番アレンジを頑張ったよね。今まで以上に一番意見を出してたし。今までやってきたことが間違ってなかったんだと思う。
- SAMBU
- 曲を作ってる時点で、行けるという気がしてならなかったんですよ。自分の中でこうした方がいいっていうのがいちいちハッキリ出てくる瞬間が多かったですね。
- FLJ
- 十二分に発揮できたんだね。
- SAMBU
- 今回は最高です!
- NAMBA
- ミュージシャンとして、みんながko-heyに触発されて、頑張った感じがするよね。K5も、ギター・フレーズとか、ko-heyとバトルしながら頑張って作ってたし。
- K5
- 俺は今回はライヴ感をスゴく意識しましたね。レコーディングなんだけど、ライヴが見えるというか。ko-heyがまずその作りをしてくるので。
- NAMBA
- ギター・フレーズに関して言えば、デモがものスゴいクオリティの高いところで来るんですよ。そこをいかに行くかっていうのがK5の試練というかテーマだったよね。
- K5
- 今回は、「この曲はこういきたいな」っていうのが全部見えてレコーディングに行けたんですよ。今までみたいに縦を合わせて録るんじゃなくて、まずはバシッと録ろうぜっていうライヴ感で、レコーディングやっててスゲエ気持ち良かったし、高揚しましたね。ギター、ドラム、ベースの絡みがリアルで、俺は超気持ち良かったんですよ。それは初めての感覚だったですね。
- NAMBA
- 側から見てて、俺はギタリスト二人のバトルを見たなあ。ko-heyはそこまで作ってきてるから、「どうなんすか。持ってきてくださいよ」って言って。K5が顔ひきつらせながら頑張ってて(笑)。それは今回の大事な過程だったと思う。ko-heyがK5に「そんなもんなんすか?」って仕掛けてる感じが、俺は「これがバンドじゃん」って思えたかな。
- FLJ
- 結果として、曲になった時に、2本のギターがサウンド上でもバトルしていて、どちらかがバッキング、どちらかがリードに徹するでもなく、2本同時でツインリードみたいな感じが聴いててカッコいいよね。そこの取り決めはあったの?
- ko-hey
- けっこう俺が曲を作ると、洋楽感がスゴく強くなっちゃうんですよ。難波さんのメロディが入る前だし。俺はK5くんのギターには日本のメロコアを感じるんです。俺にはそこが出せないから、「ちょっとこの曲のリードは頼みますね」って言ったことはありますね。
- FLJ
- でもそこまでわかってたらちゃんとバランスは取れるよね。
- ko-hey
- 逆にけっこうゴツゴツいくのは、俺の方がハードコアなリフが得意だから。「そっちは俺がやるんで、良いの弾いておいてください」とは言いますね。
難波章浩(NAMBA)の新たなチャレンジ
- FLJ
- 難ちゃん的に、今回、曲作りやメロディ作りで新しかったことや新しいアプローチはある?
- NAMBA
- 大まかに言えば、ko-heyが持ってきたオケにメロディを乗せるっていうのがスゴく新しかったんですよ。ハイスタでもそういうことはないから。こんなクリエイターが自分のバンドにいるようになったんだなっていう喜びもあったし、今回はドラムとギターのことを俺が何も言わなくても、ko-heyが言ってやってくれる(笑)。そこがスゴくうれしかった。メロディも、ko-heyが作ってきたものに対して、超えなきゃ、スゴいメロディを乗っけなきゃと思って。そこはいけたから、けっこう今回のメロディは自分でも大好きですね。あと、そのメロディをさらに引き立たせるワードたち。それは大野さんと一緒に作ることで、さらにスゴいところに行けたかな。
- SAMBU
- 歌詞のハマり具合がスゴくいいですよね。
- FLJ
- この前のハイスタの作詞あたりから、中学生英語でシンプルに歌詞を作ろうっていう方向になったよね。ビートルズぐらい簡単な言葉の方が耳に残るから。あと、ヒップホップばりに韻は踏み倒したいと思った。あと同時に、ハイスタやソロの時って、難ちゃんは自分のことを歌ってるのね。でも今回からそうでもなくなってきたのが大きいんじゃないかな。
- NAMBA
- 物語的なところが出てきた。「LOOK UP IN THE SKY」はko-heyが元ネタを持ってきたんだよね。
- ko-hey
- あの曲は作った時に、これは希望の歌にしかならないと思って。昨今いろいろなことがありますけど、何かを照らすような曲にしたいと思って、歌詞を書いて、難波さんに「こう言う感じです」って渡して。難波さんから「出来ましたよ」っていうのを見た瞬間に、俺感動しましたもん。「これはヤベエ!」って。あの時二人でLINEでテンション上がりまくってましたから。「これはスパークした!」って。
- NAMBA
- まあ、「MANIAC」もそうですけどね。そこはko-heyは言えないのかな(笑)。でもMVのオープニングがああなっちゃってるから、どう考えてもわかるでしょ。
- ko-hey
- 映像から察していただけるとうれしいです(笑)。冒頭の、曲に入る前にすべてが集約されてると思います。
- NAMBA
- まあそこがフィクションなのかノンフィクションなのかってところもいいんでしょうね。だから今回は物語的なんですよ。「GALAXY TRAIN」も物語ですから。
- FLJ
- 一番最初に出来た曲は「HEROES」なのかな。
- ko-hey
- そうですね。あれは4人体制になって初めてだから、Aメロから出来たんじゃないですか。「1が2になり 2が3になり 3が4になり 4つが1つになる」って。
- NAMBA
- K5が来て、さんちゃんが来て、ko-heyが来たっていうことを言おうと思って。一つが4つになって、それがまた一つになって。そういうキーワードが浮かんで。その感じがヒーローっぽかったから、「誰でもヒーローになれるんだ」って歌にしたんです。
- FLJ
- ポジティヴだよね。でも「LOST」は曲調もミッドテンポで哀愁があって、今までにないタイプの曲だよね。
- ko-hey
- あれは完全に2000年代初頭のエモさですね。
- NAMBA
- カリフォルニアの感じの。
- ko-hey
- ちょっと枯れてる感じで。あれは元々さんちゃんが適当に叩いたドラムに俺がアルペジオを乗っけて。そこから展開して作っていったんです。
- FLJ
- でも今回、全曲、違う曲調だよね。
- SAMBU
- こういう音を出すバンドでここまで振り幅の広いのってなかなかいないですよね。
- FLJ
- なのにどの曲もNAMBA69の音になってる。
- NAMBA
- ここからまたいろんな感じになりそうな、未来を感じさせる音ですよね。
『HEROES』の制作
- FLJ
- レコーディングの方も、今までやってたライアン・グリーンは関わっていないし、アプローチも変えたよね。生バンド感を出したり、エディットを少なくしたりしたと思うんだけど、そこの狙いは?
- ko-hey
- 今回、録りをやってくれたのは松金さんという人なんです。個人的には10年ぐらいの付き合いのエンジニアさんで。今回は生感を出したいっていう話になった時に、ライアンさんはハイスタもやってるから、そこからも変えてみようかっていうことになって。俺のオススメだったんですよ。それで難波さんがある時、HER NAME IN BLOODのアルバムを聴いた時に、「ドラムの音がスゴい良かった」って言って。調べたら同じ松金さんがやってた。それでお願いしたんですよ。
- NAMBA
- HER NAME IN BLOODの録りが日本人だったっていうのにビックリしちゃって。
- ko-hey
- 録りに関しては、松金さんは生感重視の人なので。けっこうCDでライヴに勝ちたいっていう思いを持ってる人なんです。
- NAMBA
- よくサビとかペーストしたりするんですけど、今回は全楽器、全ヴォーカル、一個もペーストないですからね。ドラムのエディットもそんなにないしね。
- ko-hey
- 若干ズレたとしても、「ここはロックでしょ」って絶妙なジャッジ・ラインがあって。
- NAMBA
- もしかしたら今まで、何かをきれいにすることでテンションとかロックな部分を削っていたのかもしれないね。で、その松金さんの録った音をミックスしてもらうのに、最初はカイル・ブラックを予定してたんだけど、マネージャーのワカがミスって。
- 一同
- 爆笑
- NAMBA
- そこで一回ガクッとなって。「マジかよ~!」って。レコーディングも終わりそうなこのタイミングでダメってどういうことよ?!ってなって。
- ko-hey
- ブチキレてましたよね。
- NAMBA
- そうなって、みんなでいろいろ考えてたところで、ko-heyがウィル・プットニーを選んできて。
- ko-hey
- ウィルがエンジニアをやったFirst Bloodの音がめちゃくちゃ良くて。生感もあって、タイトさもあって。ウィルのことを調べたら、時代を変えたGideonのアルバムも作った人で。それでオススメしたんです。
- NAMBA
- でもウィルはハードコアをけっこうやってるからストレートすぎるかな?と思ってたんです。遡ればHit The Lightsとかもやってるんだけど。
- FLJ
- で、Vision Of DisorderとかEvery Time I Dieを手がけたのも聴いたんだよね。メタルもやってるけど、パンク寄りの音が生々しくて良いってなって。
- NAMBA
- あんまり余計なことをやらないでストレートにガツンとやる方が、もしかしたら合ってるんじゃないかと思って。で、ウィルさん、蓋を開けてみたら、俺たちが『WAKE UP!!!』を作った時のエンジニアのマシンのスタジオの一員だったんですよ。俺たちがマシンと録ってる時にTexas In Julyとやってた人だったんですよ。
- FLJ
- Thy Art Is Murderもやってたね。
- NAMBA
- あのウィルさん?!みたいな。その感じもヤバかったよね。そしたら「是非やらせてくれ」ってなって。いきなりスゴい音になってましたからね。
- ko-hey
- 1回目のミックスからスゴかったですからね。
- NAMBA
- もう3回目ぐらいでパーフェクトでしたからね。コーラスのボリュームを変えるぐらいで。
- ko-hey
- 向こうのプロデューサーってアーティスト気質だし、こだわりはウィルさんもあるとは思うんですけど、得意なところをボンと出されたのが、俺らの今望んでいるものとハマったんですよ。ギターの音なんて、人生初ですよ、俺が出したい音がちゃんと出せたのは。感動しましたもん。
- FLJ
- そこまで思えたんだね。
- NAMBA
- ドラムの音も、松金さんの良さを変えないまま爆発させてくれたから。松金さんとの相性も良かったんですね。あと、ジャケットも俺らのロゴを作ってくれたリチャードがいきなりヤバイの描いてくれて。一発でOKですよね。中のブックレットも含めて、一晩でスゴいレベルのものをポンと描いてくれたんです。音にインスピレーションを受けてくれて。もう感動でしたね。
- FLJ
- 今回は特に世界観もハッキリしていたから、みんなパチンとわかって作ってくれたんじゃないかな。
- ko-hey
- 「こうしたいんだ」っていうこっちの意思表示も固かったですからね。
- NAMBA
- そこにはko-heyの巻き込む力、求心力もあったんだと思いますね。今のライヴのエンジニアの白戸くんだってko-heyの紹介だし。プラス、さらに新しくなったのが、JMSと組んでレーベルを作ったことですね。
レーベル「POP SPEED RECORDS」の始動と2017年の活動
- FLJ
- 新たにレーベルを作ったいきさつは?
- NAMBA
- それまでのエイベックスのチームももちろん俺たちに愛情を込めてやってくれたし、たくさん助けてもらった。何も問題なかったんですよ。だけど今回ko-heyが来て4人になったし、全部新しくしたくなっちゃったんですよね。だったら一旦エイベックスを離れてみようかってなって。で、どうやってリリースするの?ってなった時に、いくつかのメジャーの人たちとも話をしたんですけど、JMSのKTRと話して、一緒にやってみようかってなったんです。そこからまた始まった感じがして、だったらレーベルも作っちゃおうかってなって。インディーですよ。でもそこには後退のイメージはなくて、みんなで行けたのが面白い。マネージメントもすでに自分たちでやり始めていたのもあったし。だから、今までの活動と、ko-heyが来たことと、JMSのKTRが来たことが重なってスゴい感じですよ。
- SAMBU
- 徐々に囲んで始まった流れやなと思って。
- NAMBA
- それがお客さんにも伝わってるのか、バンドのライヴも最近が熱量が違うんですよ。お客さんも増えてきてるし。
- FLJ
- ライヴがどんどん良くなってるし、お客さんのハマり具合が濃くなってるからね。
- NAMBA
- 始まりましたね。
- FLJ
- 2017年は?
- ko-hey
- リリースしてからのツアーですね。今回、俺にとってのNAMBA69の1枚目なんです。それを持って全国に行くわけだから、ko-heyが入ってこんなになったよ、ko-heyはこんなヤツだよっていうお披露目ツアーにりますね。それを持ってブチかましたいです。ブチかました結果、いろんなフェスに出れたらいいですね。でも出れたら確実にブチかますしかないので。そこから流れが良かったらまた出したいですね。
- NAMBA
- 新曲はガシガシ作りたいですね。
- ko-hey
- それで来年あたりワープド・ツアーですかね(笑)。
- NAMBA
- 海外でリリースもしたいですね。
- ko-hey
- フロム・ジャパンで世界レベルのバンド・サウンドを見せていけたら楽しくなりますね。でもそこに至る過程で日本にちゃんと地盤を作らないと。
- NAMBA
- ありきたりの言葉になっちゃうんだけど、音源聴いて、とにかくライヴを観に来てほしいですね。とんでもないライヴをやるので。
- ko-hey
- 来てくれたらチケット代の5倍の価値のものを見せますので。
- SAMBU
- もちろんライヴの方でギアを上げてくのは間違いないですけど、NAMBA69のチームとしてのレベルを上げてくことですね。それは絶対に伝わっていくと思うし。それが強固になっていけば、海外にも伝わっていくと思う。そこをやるためには俺は何でもやろうと思ってますね。
- K5
- 今年1年、勝負の年、NAMBA69の年にしようと思ってて。いろいろ追加されていって、ここまで形になってきてるので、NAMBA69で100%表現したいし、100%返したい。このツアーはデッカい花を咲かせるための種だと思っています。
- NAMBA
- 先入観なしに、NAMBA69は新しいバンドだと思って飛び込んできてほしいですね。